エンジンオイル・作動油(油圧作動油)の規格・種類一覧ガイド

産業機械・建設機械・車両のメンテナンスに役立つ基本分類と規格まとめ

1. エンジンオイルの規格・分類

エンジンオイルは、性能レベルを示す「品質規格」と、固さを示す「粘度規格」によって分類されます。

主要な品質規格

規格名 制定組織・地域 概要・主な用途
API規格 アメリカ石油協会(API) ガソリン車用(S系):SP, SN, SM...(SPが最新・最高級)
ディーゼル車用(C系):CK-4, CJ-4, FA-4...
JASO規格 日本自動車規格(JASO) ディーゼル用:DH-2, DH-1(DH-2はDPF装着車必須)
ガソリン用:GL-1(省燃費規格)
2輪用:MA/MA2(高摩耗クラッチ向), MB(低摩耗スクーター向)
ACEA規格 欧州自動車工業会(ACEA) ガソリン・軽負荷ディーゼル:A3/B4, A5/B5等
DPF/触媒対応(Low SAPS):C2, C3, C5等
重荷重ディーゼル:E4, E6, E7, E9

粘度規格(SAE粘度分類)

分類 主な粘度グレード 主な用途・特徴
低粘度(省燃費系) 0W-8, 0W-16, 0W-20, 5W-20 最新ハイブリッド車・低燃費ガソリン車。極寒地での起動性が高い。
標準粘度 5W-30, 10W-30 乗用車から軽トラ、一部のディーゼル車まで幅広い標準的粘度。
高粘度(高負荷系) 10W-40, 15W-40, 20W-50 重建設機械・大型トラックのディーゼルエンジン、旧車、過酷環境下。

2. 作動油(油圧作動油)の種類と規格

作動油は建設機械や産業機器の油圧系統で使用され、使用環境や要求される機能に応じて分類されます。

JIS規格による分類(JIS K 2213)

JIS分類 種類名 特徴・主用途
ISO VG 10〜150 耐摩耗性油圧作動油 (HM) 耐摩耗剤(極圧添加剤)を配合。高圧・高負荷の建設機械や産業機械の標準作動油。
ISO VG 10〜150 粘度指数向上油圧作動油 (HV) 粘度指数向上剤(VI)を追加。寒冷地や屋外など、寒暖差の激しい環境向け(マルチグレード作動油)。
HL 防錆・抗酸化作動油 防錆剤・酸化防止剤を配合。比較的低圧な油圧装置や潤滑兼用回路用。
無添加 一般油圧作動油 添加剤を含まない純鉱物油。低圧力の緩やかな油圧装置向け。

難燃性作動油の分類(火気厳禁・高温環境用)

分類 種類 主な構成 特徴
HFA 水・オイルエマルション 水+油(水90%以上) 防火性最優先。製鉄所・ダイカスト機など。
HFB W/Oエマルション 油+水 潤滑性をある程度維持した難燃油。
HFC 水-グリコール系 水+グリコール 産業用機械で最も普及している難燃性作動油。
HFD 合成エステル系 / リン酸エステル系 非水系合成油 優れた潤滑性と耐熱性を持つが、シール材への耐性に注意が必要。

粘度グレード(ISO VG規格)

ISO VG規格 主な用途・適応環境
ISO VG 32 寒冷地での屋外作業機器、高回転・精密油圧機器
ISO VG 46 【標準規格】 建設機械(ユンボ・ホイールローダー等)、一般産業用油圧装置
ISO VG 68 高温・高負荷環境下で稼働する重機械、夏場の過酷な現場
環境対応・生分解性作動油(バイオ作動油)について

生分解性油(HEES / HETG等):万が一の漏洩時にも土壌や水域への環境負荷を低減できるよう、植物油や合成エステルを主成分とした作動油です。森林・河川付近の工事車両や農業機械等で採用が進んでいます。